薄明の空の色合いに対流圏エアロゾルが及ぼす影響

晴天時の薄明の空の色合いは大気の状態によって日々変化します。大気が清浄な場合は、天頂から水平線に向かって青から赤へと色が変わりますが、対流圏エアロゾルが多い場合、水平線付近が暗青色になることが観測的に明らかになりました。地球大気を厳密に取り扱った放射伝達モデルによる計算でも水平線の青色は再現できました。水平線付近の青色の部分は多重散乱光が支配的であることが示され、大気分子に比較的散乱されやすい青色の光が卓越していることが分かりました。対流圏エアロゾルの多寡で水平線付近の薄明の空の色が大きく変化することから、薄明の写真観測からエアロゾルの観測の可能性を示されました。

 

図1.デジタルカメラで撮影された薄明の空の写真。対流圏エアロゾルの光学的厚さが大きいほど水平線付近が青暗くなっている。

 

図2.放射伝達モデルを用いて再現された薄明の空の色、輝度、及び一次散乱。光比率。水平線付近は対流圏エアロゾルの光学的厚さの増大で、一次散乱光の比が急激に減少する。

 

発表

齊藤雅典, 岩渕弘信, 早坂忠裕:薄明の空に対する対流圏エアロゾルの光学・物理特性の影響.日本気象学会2013年秋季大会,2013年11月19-21日,仙台.