CloudSat・CALIPSO衛星データを用いた熱帯太平洋西部と東部における雲微物理量の鉛直分布の違いの解明

熱帯太平洋の西側(インドネシア諸島周辺)は世界の中でも海面水温が高い領域である一方、東側(南米大陸側)はペルー沖での冷水湧昇の影響を受けるため西側と比べて海面水温は相対的に低くなります。西側と東側の海面水温の違いは各領域内の対流活動や大気湿潤度に違いをもたらし、その結果として雲の高さや降水システムにも違いをもたらすことが知られています。しかし、雲内部の違いまでは先行研究であまり知られていませんでした。雲内における雲粒の大きさなど雲粒スケールの物理量を雲微物理量と呼び、雲微物理量の鉛直分布は雲の放射特性を決めるだけでなく、雲の生成・維持・消滅過程を理解する上でも重要です。本研究では、雲微物理量の鉛直分布の西側と東側の違いに着目し、雲レーダーやライダーを搭載した衛星データを用いて解析を行いました。

2007年(1年間)のデータを解析した結果、対流活動が比較的弱く、エアロゾル量が少ない熱帯太平洋東部の方がより融解層(温度0度)付近で雲粒が大きいことがわかりました(図1)。

図1:光学的に厚い雲の雲粒有効半径(横軸)と温度(縦軸)の2次元頻度分布図。左側から西部の結果、東部の結果、西部と東部の頻度の差を表す

 

発表論文

Naoya Takahashi, Tadahiro Hayasaka, and Hajime Okamoto, 2016: Differences in ice cloud microphysical properties between western and eastern tropical Pacific regions derived from CloudSat and CALIPSO measurements. SOLA, 12, 91−95.