オープンキャンパスでは、「誕生日の海面水温を見てみよう」という展示をしていました。2020年からはオンラインで実施しています。表示されるのはPDFファイルです。パソコンのブラウザで表示して、A4用紙(2枚)にプリントアウトすることを想定しています。スマホで見るのには適していないと思います。すいません。
元となっているのは、アメリカ海洋大気庁(NOAA)が作成しているOISST(ver.2.1)と呼ばれているデータです。ここでは1981年9月1日から2020年5月21日の間の海面水温とそのアノマリの画像を表示します。データが1981年から始まるのは、NOAA-AVHRRを用いた海面水温観測が本格的に始まるのが1981年からだからです。最新のデータはNOAA-OISSTのページから入手することが出来ます。
表示の方法
生年月日を入力すると表示できるようにしたかったのですが、変な入力欄があると個人情報を収集しているような誤解をされるかもしれません。お手数ですが、ブラウザに、直接URLを入力してください。例えば、あなたの誕生日が2005年09月10日の場合、
https://caos.sakura.ne.jp/sao/p/2005/oi0910.pdf
のようにURLを入力します。この例の”2005″のところが西暦で表した年です。PDFファイル名はMM月DD日のとき”oiMMDD.pdf”となります。MMとDDが1~9のときは、01~09としてください。別の年の同じ日のファイルを保存したいときはファイル名を変更してください。
ブラウザに、次のようなページが表示されたら成功です。A4用紙2ページで、1ページ目が海面水温分布図、2ページ目がアノマリ(平年値からのずれ)です。
遊び方
A4用紙にプリントアウトして適当に切り貼りすると、箱にしたり、飛び出すペーパークラフトとすることが出来ます。ハサミやカッターを使うときは怪我の無いようにご注意ください。
海面水温とアノマリ
海面水温は海の表面の温度です。英語ではSea Surface Temperature (SST)と言います。海に直接触れることのできない衛星は、海の出す赤外放射やマイクロ波放射を計測します(NOAA衛星のAVHRRは赤外放射を計測します)。それは、プランクの法則等の物理法則を用いて温度に換算できます。この温度観測の原理は、今回のコロナ騒動でよく見かけるようになった非接触型の体温計と同じです。
信頼できる海面水温値を得るまでには、実際には、様々な補正処理が行われています。また、今回用いたNOAA-OISSTは、複数の衛星観測データを融合して作成されています。
海面水温は、大まかには、赤道が高温で、極側が低温です。しかし、赤道付近でも周囲よりも温度の低いところもあったりして、温度分布の様子はけっこう複雑です。細かく見ると、黒潮や湾流などの海流に対応する細長い帯状のパターンが表れていたり、波模様が表れていたり、丸い渦が表れていたりします。じっくり眺めて、面白いパターンを探してください。
アノマリ(anomaly)は、基準とするものからのずれです。ここでは、ある日の海面水温が1970年~2000年の平均値(気候値)と比べて高いか低いかを表しています。画像では、気候値よりも高いところは赤く、低いところは青く、気候値との差が小さいところは白く色付けしています。
アノマリは、その違いが最も分かりやすいのは、太平洋の赤道域です。下の図は1999年、2001年、2002年の太平洋赤道域の海面水温とアノマリです。それぞれの年の12月15日を比較しています。特に2002年と1999年の違いが目に付くと思います。図の緑の四角で囲った領域では、2002年のアノマリは赤が、1999年のアノマリは青が、それぞれ顕著です。これは、2002年は気候値よりも温度の高い状態となるエルニーニョ、1999年は気候値よりも温度の低い状態となるラニーニャ、という現象に対応する分布です。