衛星観測から巻雲の氷粒子形状を推定する手法の開発

従来、巻雲の氷粒子形状は航空機観測によって調べられてきましたが、全球スケールでそれを調べることは技術的に難しく、大気状態と氷粒子形状の関係はよくわかっていませんでした。

そこで本研究では、衛星搭載の能動型・受動型センサによる異なる2種の観測シグナルから最適推定法を用いて巻雲の微物理特性や氷粒子形状を推定する手法を開発しました。1ヶ月のデータ解析から、巻雲に含まれる水平配向板状粒子(HOP)存在比が定量的に求められ、巻雲において温度に対するHOP比の顕著な正の相関や、それに伴う緯度依存性が明らかになりました。

従来の能動型観測によって推定される巻雲の光学的厚さに対し、氷粒子形状の違いに起因する緯度依存バイアスの存在が指摘されました。本研究で得られた知見によって従来手法での巻雲の光学的厚さの推定精度の向上が期待されます。

図1.水平配向板状粒子(HOP)存在比の温度依存性を示した2次元ヒストグラム

図2.本研究によって得られた巻雲の光学的厚さ(縦軸)と従来手法(横軸)の比較図。(左)熱帯域(右)中・高緯度域。

 

発表論文

Saito, M., H. Iwabuchi, P. Yang, G. Tang, M. D. King and M. Sekiguchi, Ice particle morphology and microphysical properties of cirrus clouds inferred from combined CALIOP–IIR measurements, Journal of Geophysical Research: Atmospheres, 2017, accepted (04/05/2017) DOI: 10.1002/2016JD026080