デジタルカメラから天空光スペクトルを推定する手法の開発

天空光のスペクトル情報はエアロゾルや雲の観測に有用ですが、全天のスペクトルを観測する測器は非常に高価です。デジタルカメラを用いた観測も行われていますが、事前に大量のスペクトルデータを必要としていることが現在課題となっています。本研究で提案した手法では、デジタルカメラの信号そのものを放射伝達を考慮した近似式を介してスペクトルの特徴を表す値に変換するため、大量の事前データは一切必要としません。他の観測測器との比較検証の結果、これまでに提案された手法と同程度の精度で天空光のスペクトルを推定できることが示されました。

 

図1.本研究手法で推定した天空光のスペクトルとそれを決める係数

 

図2.本研究で提案した近似式。それぞれの係数は空の大気や微粒子による散乱の寄与を表している。デジタルカメラの信号の式に代入することで信号と係数の関係を定式化した。

 

図3.デジタルカメラと分光放射計や放射伝達モデルから得られた天空光のスペクトルの比較結果

 

発表論文

Saito, M., H. Iwabuchi, and I. Murata: Estimation of spectral distribution of sky radiance using a commercial digital camera. Vol. 55, No. 2 / January 10, 2016 / 415-424, Applied Optics. (doi:10.1364/AO.55.000415)