地上からの雲判別は、雲量観測において重要ですが、その難しさから未だに目視の観測が行われています。また、地上からの雲判別は衛星観測による雲判別手法の検証にも用いられるため、これらの手法の成熟が課題となっています。本研究で提案した手法では、従来用いられてきたJPEG形式ではなく、RAW画像データを用いました。またSaito et al., 2016で導出された2つの係数から晴天指数を定義し、閾値を用いて雲判別を行いました。晴天指数は雲域と晴天域で値が大きく異なるため、雲判別精度の向上が期待されます。
従来の手法と比べて、本研究で提案した手法は太陽周辺域や薄い巻雲が存在する条件で特に精度よく雲域を判別できることが示されました。雲判別の検証手法として従来用いられてきた目視による判別は不確実性を伴うため、ライダーを用いた検証を行い、その判別精度を保証する結果も得ることができました。
図1.2つの係数とそれから導出された雲判別に用いる晴天指数の確率密度分布
図2.本研究手法(AMとSM)を用いた雲判別結果と他の手法(R/B)との比較
発表論文
Saito, M., H. Iwabuchi: Cloud discrimination from sky images using a clear sky index. J. Atmos. Oceanic Technol., 33, 1583–1595, 2016. doi: 10.1175/JTECH-D-15-0204.1. (published online: 26 July 2016)