観測項目
二酸化炭素(CO2) | メタン(CH4) | 一酸化二窒素(N2O) | 一酸化炭素(CO)
六フッ化硫黄(SF6) | 酸素(O2) | CO2の炭素同位体 | CH4の炭素・水素同位体
メタンの炭素・水素同位体比
CH4の安定同位体には、炭素同位体に12Cと13C、水素同位体に1Hと2H(D)があります。
試料CH4中の微量な安定同位体の存在量を、炭素と水素の同位体それぞれについて、δ13CとδDという相対比(‰パーミル)で表します。大気CH4のδ13CとδDは、CH4の大気中変動および全球収支の理解に有用です。
第一に、個々のCH4放出源が特有の同位体比を持ちます。第二に、CH4の消滅過程で特有の同位体分別効果が起こります。これらの効果が大気CH4の同位体比に反映されるため、大気CH4の同位体比観測はCH4の変動要因と収支解析の大きな手がかりとなるのです。しかし、大気中のCH4のδ13CとδDの変動を捉えるためには、δ13Cで0.1‰、δDで2‰を上回る非常に高い測定精度を達成する必要があり、その困難さによって、観測例は非常に限られています。
上の写真は、私たちの開発したCH4のδ13CとδDの測定装置です。大気試料中のCH4を分離・濃縮し、CO2またはH2に変換して質量分析計に導入し、δ13CおよびδDの測定を行います。私たちはこの装置を用いて時空間的に広範な大気試料を測定し、CH4の大気中変動と全球収支の理解に貢献すべく研究を進めています。